金券ショップで働いていると、数ヶ月に1回ぐらいのペースで、ご主人様が生前集めていた切手コレクションを、ご遺族の方がお持ち込みになるケースに遭遇します。
これいくらぐらいになりますか?
一度お預かりして査定させていただけませんか?
切手の枚数や状態にもよりますが、コレクションとして保管されていた切手は、1枚ずつのバラであることが多く、額面もまちまちです。
また、金券ショップには来客も多いため、買取専門店やリサイクルショップのように、その場で買取価格を提示することはまずできません。
ほとんどのお客様にはご納得いただけていますが、稀に怪訝そうな顔をされるお客様もいらっしゃいます。
査定なんてすぐできるだろ…
と、お思いのお客様もいらっしゃるでしょうが、そういうわけにもいきません。
今回は、生前の切手コレクションが遺品整理で見つかった場合の対処方法についてお伝えします。
金券ショップでどのように切手を査定しているかもコッソリお知らせします。
お客様が思っている以上に、金券ショップは来客の多い商売です。
というより、来客が少ない金券ショップはほどなく潰れてしまうと言った方がいいかもしれません。
利益率が2%~3%と薄利多売な金券ショップは、ある程度の客数がなければ潰れてしまいます。
店舗の立地が多分に影響しますが、金券ショップでは1日の客数(購入客)が500人を超えるお店も珍しくありません。
営業時間が9:00~19:00の10時間だとすると、1時間あたり50人、1.2分に1人のお客様が来店することになります。
当然、店員側も1人ではなく、2~3人の複数人で対応することになります。
ただ、このような状況では、とても切手の査定をすることができません。
実は、金券ショップの店員でも、いつお客様の波が落ち着くかは分かりません。
ある程度の傾向は分かっているのですが、絶対にお客様がいらっしゃらないわけではありません。
また、来客が落ち着く時間帯は、店員の休憩時間を割り振ることも多いです。
なので、切手の査定ができる時間がいつになるのかは、状況次第で変わってしまいます。
一般的に、金券ショップの店員さんにはパートさんやアルバイトさんが多いです。
もちろん、正社員である店長や店員もいますが、割合としては50%を下回るでしょう。
つまり、今店舗にいる店員さんでは、買取の判断がつかない商品が紛れている可能性もあるのです。
特に、コレクション切手は、保管状態によっては判断が難しい切手も多くなります。
どうしても、店長やマネージャーに確認しなければならない切手が見つかることもあるでしょう。
毎日店長やマネージャーが出勤するわけでもないため、結局お預かりするのが一番無難な選択となってしまうのです。
一方、金券ショップではなくリサイクルショップ、それも買取専門店であれば、原則その場で査定してもらえるでしょう。
販売も行っているリサイクルショップだと、お店にいるスタッフの数によっては、お預かり対応を提案されることもあるでしょう。
しかし、買取専門店は来客が少ないので、すぐに査定してもらえるのが普通です。
忙しいから待つのは嫌だな
お客様の中には待ち時間のない買取専門店を好まれる方もいるでしょう。
ただ、コレクション切手を買取専門店へ売却依頼する際には注意が必要です。
最近では、金券ショップでも買取専用カウンターなど、買取専門スペースを用意するお店も増えています。
ですが、多くの金券ショップでは、カウンターに販売・買取の区別がないので、バックスペース等に切手を持っていき、査定するといった対応もよくあるでしょう。
ただし、買取専門店でこのような対応をされそうになったら注意してください。
お客様が持ち込まれた切手の数にもよりますが、切手の額面と数を確認する程度なら、20分~30分程度あればできます。
数が多くて時間がかかっても、2時間程度あれば査定はできるでしょう。
ただ、お客様に注意していただきたいのは、早すぎてもダメだということです。
基本は買取カウンター内で、お客様が査定の様子を確認できる状況が好ましいです。
ただ、お店側にもお客様に見せられないマニュアルや買取価格表などがあって、どうしてもバックルームで査定を行なう必要があるかもしれません。
最悪なのは、貴重な切手が査定価格から抜かれてしまうことですが、早すぎる査定にも注意しましょう。
切手の査定は以下の手順で行います。
このため、コレクションされた切手であれば、1枚1枚確認していくことになるため、それなりの時間がかかるのが普通です。
この査定時間が短すぎるという場合、ほぼ100%適当な査定がされているでしょう。
つまり、買取価格が安く設定されているということです。
買取専門店というからには高価買取なのだろう
というイメージがつきやすいですが、あまりあてにはなりません。
貴重な切手がなく、切手額面からの%で買取価格が決まる場合、むしろ金券ショップの方が買取価格が高い傾向にあるからです。
これは、買取専門店が買取した商品をどこに卸売りしているのかを考えれば分かります。
結局のところ、買取専門店も貴重な切手を除き、金券ショップへ卸売りしているのが普通です。
であれば、直接金券ショップへ売却した方が、買取価格が高くなるのも頷けますね。
なら切手は金券ショップに売るのが安心ね
そうとも言えないのが切手買取の難しいところです。
10年ほど金券ショップで働いている私ですら、額面以上の買取金額が提示できる貴重な切手を見たことはありません。
「見返り美人」や「月に雁」なら分かりますが、その他の切手となると、しっかり査定できる自信がないというのが正直なところです。
そうなると、必然的に額面金額からの%で買取価格を計算することになります。
なので、金券ショップなら買取専門店より高く買えるとも言えないのです。
関連記事:切手の買取価格にプレミアムが付くことはほとんどない!?金券ショップより専門店を利用するのが吉
リサイクルショップや買取専門店よりは、金券ショップは高い買取率を提示しているのが普通です。
ただし、コレクションの切手となると、バラになっていることが多く、古いものほど額面金額が低くなるのが普通です。
一般的に、バラの記念切手の買取率は額面の80%以下です。
額面金額が50円以上で70%~80%程度、額面金額が50円未満、10円未満となると、さらに買取率が下がってきます。
そのため、お客様が思っているより買取金額が安くなることも多いのです。
関連記事:【切手の高価買取】金券ショップへ切手を高く売るための5つのポイント
総合的に判断すると、遺品整理で見つかった切手コレクションは、切手買取専門店への依頼が一番です。
ここ数年で、ご年配の方が孤独死されてしまうケースも増えました。
こうした社会情勢もあって、遺品整理士という職業が注目されるようになっています。
同時に遺品整理を提供する会社も増えています。
仕事に役立つかと思って一般社団法人 遺品整理士認定協会にて遺品整理士の資格を取得しました。
免許の更新に費用がかかるため、今は資格の更新を止めてしまいましたが、遺品整理士の資格所持者に保障される技能は下記の通りです。
現状の遺品整理士は、実務に関しての技能レベルは保証されていません。
なので、遺品整理士の資格を持っていても、所属が会社か個人か、経験年数などによって、業務にバラつきが出やすいのが現状でしょう。
現状では、遺品整理士の認定は一般社団法人が行っています。
いずれは公益社団法人へと昇格できるよう努めているようですが、現状では遺品整理士の信頼度はまだそこまで高くはないでしょう。
そのため、業務への信頼度は企業または個人に依存する形になります。
友人や知人に、廃棄物処理業や引っ越し業者、リサイクルショップなどの古物商に携わる人がいたら、その方経由で遺品整理を依頼するのもいいでしょう。
基本としては、企業に遺品整理を依頼するのがいいと思います。
結局のところ遺品整理も業務ですから、業者に依頼すればその分お金がかかります。
それでも、不用品を一括で処分してもらえて、かつ価格も安く抑えれることの多い遺品整理には、一定の需要があるでしょう。
また、ご遺族を偲んでいる時に、遺品の整理について考える余裕はないかも知れません。
[会社遺品整理]を利用してもろもろの遺品整理を一括で依頼するのもいいでしょう。
遺品整理の価格が安くなる仕組みは、ゴミとして捨てる物と、リサイクル品として買取可能な物を分けるためです。また、作業人員に対する人工費も発生します。
これらが遺品整理の価格として反映されます。
ゴミの処分費や整理整頓作業の人工費は必ずかかるので、遺品整理を依頼しても、リサイクル品の売却でプラスになることはないでしょう。
ただし、遺品整理を自分たちでやれば別です。
住んでいる地域の自治体によって、家具などの粗大ごみ回収の費用はまちまちです。
しかし、回収業者に依頼するより、自分で自治体などへ連絡して処分すれば、驚くほど処分費を下げることができます。
私自身、引っ越しの際に不要なタンスを処分しましたが、処分費用はたったの300円で、ゴミ収集場に出しておくだけで、市の回収業者が持って行ってくれました。
事前に自治体への電話連絡などは必要でしたが、これらの手間を取るだけで、ごみ処理費用は大幅に削減できます。
もちろん、粗大ごみの回収までに2~3週間の時間は必要でした。
遺品整理を業者に依頼するとしても、業者が専門とする領域は意外に狭いものです。
遺品整理を請け負う業者は、引っ越し業者かリサイクルショップからの派生が多いでしょう。
引っ越し業者は荷物の整理や人員配置に高いノウハウがありますが、不用品がどの程度の価格で売れるのかまでは分かりません。
逆に、リサイクルショップなら不用品の売却価格が分かります。
ただし、リサイクルショップにも専門に扱う商品があります。
物品(洋服・家具・家電など)、ブランド品や金プラチナ、金券などが一例で、意外にも専門外の不用品についてはそこまで詳しくないことも多いです。
そのため、遺品整理の作業ごとに、専門の業者を上手に利用するのが、最も費用を抑えるコツとなるのです。
遺品整理を一括で依頼する場合や、分割で依頼する場合のおすすめの依頼先をまとめておきます。
ご自身やご遺族の状況、時間的・人的余裕を考慮して決めてください。
[テキスト遺品整理]